織物事業を通じ、村の貧困を打破し、女性たちの権利を守る。自身が貧困に苦しめられたカンボジア人男性の挑戦。

自分が貧困だったから、貧困をどうしたらなくせるのか考えていました。


貧困をなくしたいと思ったきっかけは、自分が貧困だったからです。

フェアウェブ代表 チョムナムさん(37歳)

私は、カンボジアの地方にあるコンポンチュナム州の村で育ちました。
村には仕事がなく、幼い頃から、両親はカンボジアの首都プノンペンまで働きに出ていました。
祖父母もいなかったので、私は兄と2人で、家で月に1回帰ってくる両親を待っていて、ただただ、寂しかった。

村では、農業だけでは稼ぐことができず、私の両親と同じように仕事を求めて、親がカンボジアの都市やタイに出稼ぎに行っている家庭が多くありました。
出稼ぎに行かないと生きてはゆけず、家族が離れて暮らさないといけないということが当たり前でした。

この悲しいストーリーから、貧困をなくすためにどうすればいいのか考えていました。

カンボジア国民の70%が農業分野に従事していることから、この分野に強くコミットすれば、貧困を社会からなくせるのではないかと考え、大学では、農学と農村開発について学びました。

2002年に大学を卒業した後、農村開発のバックグラウンドを生かすことができる、海外のNGO団体の「カンボジアのシルクセクターに関するプロジェクト」で働き、村でのシルクづくりや、伝統的な染色技術を残す活動、農業の技術指導などをしていました。

 

男性優位の村社会

NGOでのプロジェクトで村で女性たちと過ごしていていくうちに、村にある問題は、貧困だけでないということに気づきました。

私が村の女性にプロジェクトの調査のために質問をした際、よく目にする光景がありました。

「私にはわからない、夫に聞きます。」
女性は、男性に頼るだけで、自分で何も発言しようとしません。
男性の方が先に意見を言わなければならないという村の文化でした。

そして、村の男性の中には、自分が仕事をしてお金を稼いでいるのだからと、家庭でキングのように振るまい、お酒を飲んで、女性に暴力を振る人もいました。
この男性が優位であるべきだという考えは、学校に行くことができず、教育を受けていない人によく見受けられました。

私は、このカンボジアに根強く残っている文化に対して大きな嫌悪感を抱くようになりました。
女性も男性と同じ権利を持っているべきあり、どうにかしたいと思うようになったんです。

 

彼女たちが使い切れていないエネルギーを発揮できる場所、フェアウェブ

 

勤務していたNGOでのプロジェクトは、2012年にドナーの関係で、終了してしまいました。
しかし、このままプロジェクトが終わったからと言って、村の人との繋がりを断ちたくないそして村にある貧困と女性の権利の問題をビジネスを通じて解決したいと思いました。

プロジェクトでできた繋がりをもとに、村での織物事業を展開するフェアウェブを2013年に立ち上げました。

織物作りを選んだ理由は、村の女性が家族の近くで働くことができ、
そして、十分な教育を受けていない状況でも、手を使う作業であるため、収入を得ることができるからです。

これまで女性は家で子供の世話や家事をしているのにも関わらず、お金に換算されませんでした。
この織物事業で現金収入を得ることによって、
女性は、自分に自信を持つことができ、男性とも対等に話すことができるようになります。

また、子供の教育に関心を持ち、お金を使おうとするのは主に、父親でなく、母親だと思います。
母親に収入をもたらすことができると、子供によりよい教育を受けさせることができます。
子どもたちが教育を十分に受けることで、子どもたちの将来の選択肢が増え、貧困から脱することにつながる将来の兆しが見えてきます。

女性は、社会にとって、とても大きなパワーを持っていると考えます。
彼女たちが使い切れていないエネルギーを、もっと社会のため国のために発揮できる場所を作らなければいけません。これは、次の世代にも影響を強く及ぼします。

フェアウェブ事業を通して、正しい未来に向けて、女性をサポートし、コミュニティから貧困をなくします。

現在は、NGOでのプロジェクトでつながりのあった、コンポンチュナム、バンティミェンチェイ、カンダール、プレイベンの4州にまたがって織物事業をしていて、
NGOでのプロジェクトから関わってくれていた織り手さんも含めた、スタッフ合計60名でものづくりをしています。

 

今の仕事は希望。(チームリーダNetさんの声)


Ly Netさん。2013年からフェアウェブで働く。
メンバーサポート、クオリティコントロールを担当する、チームリーダー。

「子供のためにお金を稼ぎたいと思い、この仕事を始めました。
以前はトレーダーに作った布を卸していましたが、フェアウェブのように十分な金額をもらうことはできませんでした。
この村で、布を織る仕事以外だと、できる仕事が農業しかなく、しかも農業は天候によって左右され収入も安定しません。
今の仕事は楽しく、私たちの希望です。
娘を大学に行かせるまでこの仕事を続けていきたいです。」

 

 

製品だけでなく、コミュニティも作る。

 村のみんなで織るための糸を巻く共同作業

 

共同作業が終わった後の、だんらん

村の女性の収入を向上させることだけでなく、村のみんなで糸を巻く作業などの共同作業を通じて、コミュニティー内には仕事を通じて繋がりが生まれて、女性たちは楽しそうに仕事をします。
仕事がなかったらこうやって話す機会もなかったかもしれませんね。
この村の人たちの笑顔が私の事業を続けるモチベーションになっています。

 

5カ国にMade in Cambodia製品を輸出。

現在、月に2000個の商品の生産をしていますが、その60%を海外輸出しており、日本、アメリカ、カナダ、オーストラリア、シンガポールの5カ国に製品を輸出しています。
私たちFAIR WAVEの製品が海外輸出を成功させている理由は大きく2つあります。

一つ目は、常にクオリティーを担保しています。
海外バイヤーに製品の質を認めてもらうのは、本当に大変でした。

製品に関して織り手さんへアドバイスすると、2〜3週間は、その通りに作ってくれますが、その後は、忘れてしまいます。そのため、頻度高く村に訪れるようにしています。
月に1回は、織り手さんがいる4州にそれぞれ行って、チームリーダーとミーティングをし、クオリティーチェックしています。

村で作られた布のクオリティーチェックをするチョナム氏と、見守る女性

真ん中:織り手、右:技術リーダー

 

そして、2つ目は、納期管理の徹底です。村からの輸送で何が起きるかわからないので、
もし100枚のオーダーが入ったら、チームに150枚生産するように指示しています。こうすることで、バックアップを取ることができ、クオリティーも保つことができます。

 

デザインも私がしています。デザインと、コミュニティマネジメントをカンボジアの大学でディプロマを働きながら取得しました。

7月から9月は雨が降るシーズンで、カンボジアに来る観光客が減ります。
その時期はカンボジア国内での売り上げが少なくなり、フェアウェブにとっても厳しい時期です。

そのため、今以上に海外販路拡大、オンライン販売を強化しようと動いています。
先日も中国のバイヤーともオンライン販売のミーティングをしました。

フェアウェブ一本に人生をかけていく。

これまで、同じミッションを持つ女性を支援しているハンドクラフトをあつかっているお店で、収入を得ながらフェアウェブでの事業をしていました。
お店での仕事はやりがいを感じていましたが、フェアウェブ事業に集中するため、2018年をもってお店を退職しました。

2019年はチャレンジの年です。今年しっかりと基盤を作って、2020年にリターンを得られるように計画しています。

 


事業がたとえ忙しくとも、自分の心がやりたいと思うことなので、やればやるほどフリーダムを得られることができます。

もし、自分がやりたくないことをやっていたら、それは責任感やお給料をもらうからやるというモチベーションになるかと思いますが、自分の心にフィットしてたら、心からいつでもやりたいと思い、疲れを感じづらいです。

 

すべては、カンボジア人女性のために。

これから、フェアウェブブランドを成長させてて、国内でも海外のフィールドでも、質、見た目、ユニークさ、多くの人が買いたいと思うものを作っていきたいです。

事業環境を整えて、たくさんの仕事を作り、より多くの女性の仕事を増やしていきたい。

大変だと思うことはもちろんあります。
でもそんなとき、思い出します、これまで関わってきた村の人の顔、その笑顔、今も村の問題に苦しんでいる人がいることを。

すべては、カンボジア人女性のために。
仕事がなく孤独に家族と生活するだけのカンボジア人女性の力になっていきたい。

フェアウェブは、そういう女性たちの生活レベルをあげ、日々を充実させ、将来が少しでも明るく感じられるような手助けをしたい。

 

 

 

チョムナムさんと村の織り手さんたち

 

 

#value!talk!

#value!ハラハタ

チョムナムさんとお話ししたい方は、ビデオ通話(英語通訳可)可能ですので、以下よりお問い合わせください。
村での女性の雇用のために織物事業を展開するFAIR WAVEチョムナムさんと#talk!

 

チョムナムさんに、「応援メッセージや感想を送りたい」「テキストで連絡がとりたい場合は、以下のお問い合わせフォームの、#valuexchange! ID欄に「Ch0」とご記入いただき、コメント欄に、伝えたい内容をご記入いただくか、記事ページ下にコメントください。ご本人にお伝えします。
伝える!!

 

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