国際舞台でも評価され続けているカンボジア人女性起業家。私は、自分の国の未来のために、カンボジアシルクで起業したの。


カンボジア市場の多くは、海外の人によってつくられている。

食品もベトナムやタイからの輸入が多く、製造業も外国資本、そして、ファッション業界でもブランドを海外の人が立ち上げる。
それが当たり前だ、と多くのカンボジアの人々は受けて入れているように感じる。※
それを当たり前だ、と思わずに、自身のブランドを立ち上げ、国際舞台でも評価されている女性、バナリー・サン。

彼女のエネルギーは、文章で表現しても衰えない。


※インタビューアーハラハタが2年間カンボジアに住んで感じた個人的な意見。

 

 

自身のブランドのLotus Silk & Boutiqueでシルクをまとうバナリーさん

Ms. Vannary San(バナリー・サン)39歳
ハンディクラフトを扱う外資系企業でブティックマネージャーを務めた後、Lotus Silk社を創業。3人の子供の子育てをしながら、ブランドを確立。2016年に優れたアジア女性起業家(Outstanding Asian Women Entrepreneurs) に選出。2018年には、Modern Ethnic Design Centreが手がけるパリでのファッションショーにLotus silkブランドが出演。同年グッドデザイン賞を受賞。2019年4月には、カンボジアシルクの伝統を伝える体験型観光施設SILK HOUSEオープン予定。

 

海外の人によって作られるカンボジアのファッション業界への違和感。

当時、23歳の私は、カンボジアのハンディクラフトを扱い、職業訓練をする外資系のファッション企業で働いていたの。
この仕事はとてもやりがいがあり、私は、ファッション業界が大好きになったわ。

でも、なぜカンボジアのファッション業界のほとんどが海外の人によって作られているのだろうと、強い違和感をずっと感じていた。

確かにその当時、ファッション産業で遅れをとっていたカンボジア。
でも、この現状に受け身ばかりで、海外の人に従うままで、自ら何も行動しようとしない人々と社会を、すごく不思議に思ったの。

だから、ファッションというフィールドで、カンボジア人として先頭に立つんだと、私は決意して、Lotus Silk社を立ち上げたの。

私たちの国の産業、私たち自身で守らなきゃ。
誰もやらないのなら、私がつくる。
テーマは、カンボジアシルク。

 

カンボジアを守るために、カンボジアシルクを選んだの。

Lotus silk のカンボジアシルクの光り輝く商品
カンボジアシルクの魅力を伝え、カンボジアシルクの製品を今後増やしていきたいとのこと。

数あるカンボジアの産業の中でも私が選んだのは、カンボジアの伝統産業であり、アンコールワット(カンボジアにある世界遺産)のレリーフに描かれた女性も身にまとっている、カンボジアシルクだったわ。

なぜシルクを選んだかって?
2つ理由があるの。

1つ目は、糸を紡ぎ、製品を作るまでの全工程を手作業で行っているという、カンボジアシルクへの愛情の注ぎ方。



多くの海外シルク産業が機械作業を通して製品を作っているわ。
しかし、カンボジアシルク製品は、手作業で作られることによって、生糸の繊維がしっかりとした手触りの良さをもたらし、製品の質が高い。
機械で使ったものと異なり、シルクを体にまとったときに、自然に体にフィットする。
何回使っても、糸が落ちずに、とても長持ちするの。
だからカンボジアシルクは、スカーフやショールにぴったりよ。

ゴールデンシルクの生糸を見せてもらう
シルクの糸は蚕(カイコ)の繭から糸をつむいでつくられる。

そして、カンボジアシルクは別名、「ゴールデンシルク」とも呼ばれているわ。
タイやベトナムで採れるような、品種改良され、白い糸を吐く蚕(カイコ)とは違って、カンボジアには、何百年も前から品質改良をされずに人の手が加わっていない「カンボウジュ種」と呼ばれる蚕が存在している。
その蚕からの生糸は、着色しなくても、原色が輝く金色の糸になっているの。

すべて手作業で作られ、そして、カンボウジュ種の繭から糸を紡いで作られる、
カンボジアシルクは、世界の中で貴重な技術レベルを保っているシルク産業よ。

 


そして、2つ目の理由は、
シルクの生産で地方のコミュニティ開発を促すことができるから。

これまで、地方でシルクが作られている場所はあるけど、市場が安定していなかったの。
なぜなら、シルクを紡ぐ人、それをマーケットにおろし、販売するという、この一連の流れをプロデュースする人がほとんどいなかったから。

ここで私がプロデューサーとして、地方の生産者と協力し、ブランド製品をつくることで、生産者に利益を還元でき、カンボジアの地方の雇用も守ることができるの!

地方でのカンボジア伝統の手織りを守り、世界に伝えることもできる。
日々の雇用をなかなか生み出せていなかった地方を強くすることで、国全体の活性化につなげられる!

まさに、カンボジア全体を上げてカンボジアの産業を守ることができる!
カンボジアシルクをフィールドに、スタートしない理由はなかったわ。

 

スタッフのお給料を支払うために仕事を掛け持った。そうしてでも成し遂げたかった。

Lotus Silk & Boutique店内。シルクの商品以外にもデザイン性の高いお洋服やアクセサリーが並ぶ。


ミシン1つと、織物のできるスタッフ1人だけを連れて、私は、今まで働いてきたファッションの会社を飛び出した。
これが、Lotus Silkの出発点。

会社を創設したころ、まだ利益が十分じゃなかった。1人のスタッフに給料を払うことも難しかったの。
だから、私はその子に給料を払うため、別の仕事も掛けもっていたわ。
そして同時に、オンラインでデザインの勉強もしていたの。
自分が決めたこと、そして自分が作りたいもののために、毎日ひたすら、ひたすら一歩ずつ前に進んできた。

私は、Lotus Silk社の名前の由来である「Lotus(ハスの花)」という言葉を大事にしているの。
ハスの花は、泥で育つでしょう?そして、大きな花を咲かせる。汚い泥から、美しい花を咲かせるの。
”You can make it!” ポジティブになれば何でもできる!
この花を見ると、そんな明るい気持ちになれるの。

 

世界で名を売るチャンスを、逃さなかった。

展示会にて


大きなチャンスをつかんだきっかけは、国際貿易センター主催の、能力育成プログラムに選ばれたことだったわ。

そこで、デザインの技能育成であったり、色彩のトレーニング、会社のロゴに関する研修もあり、そして、なんと、ニューヨークで展覧会も行う機会を与えてもらえた。

でも、費用の半分を自分で賄わなくちゃいけないので、その展覧会は、自分の中での賭けだったけど、悩んだ末に応募して参加することになった。

会社としては、確かに金銭的に苦しかった。
でも、世界に名前を売ることができるチャンスだったの。
このチャンスを逃すまい、ってね。
そしてこの決断は正しかった。

 

Modern Ethnic Design Centre(ドイツの団体)が手がける、
パリでのファッションショーにLotus Silkブランドが出演。

この展覧会のおかげで、ヨーロッパのファッション業界とのコネクションができて、2017年にベルリンで、そして2018年にはパリでファッションショーに参加することができたの。

選んできた道、諦めないで歩いてきた道が正しかったと確信した瞬間だったわ。

 

私が失敗しても、失望はしない理由


新しいことを始めるときに、不安に感じないのかよく聞かれるわ。
でも私は自分にこう言い聞かせているの。
「Try your best.」
たとえ失敗したとしても、失望はしないの。だって、ベストを尽くしてるから。全力を尽くさないよりましよ。

自分で会社を作ろうとしたときね、周りの多くの人が反対したわ。
「あなたにはできない。経験も人脈もないから無理。」
頼りにしていた昔の会社のボスにもそう言われて、ただ、苦しかった。

でも、私はあきらめなかった。
そんなの、やってみなきゃ分からない!
私がカンボジアの産業を守ってみせる、私がカンボジアのファッションブランドを作るんだ、って。

カンボジアのこの土地に生まれたからには、一国民として、カンボジアをもっと強く、良くしたいと心から思うわ。

 

子供たちには、お金でなくカンボジアの未来に繋がるものを残したい。


私には、3人の子どもがいる。私にとって次の世代に残すものは、お金ではないと思っている。
お金を作ったとしても、何も残らない。

確かに、お金は生活に必要よ、


でも、私が大切にしていることは、「カンボジアの未来に残るもの」なの。次の世代に受け継いでほしいものなの。
お金の価値を超えたもの、例えば文化や、人々の心に響くもの、感動するものに力を注ぎたいの。

だから私は、カンボジアの伝統のシルク産業を、未来に残したい、ただ伝統産業を知ってもらうだけでなく、次の世代に残したいの。

カンボジアのシルク市場にある、カンボジア産のシルク製品はわずかで、ほとんどが中国やベトナムからの輸入品。

失われようとしているカンボジアシルクを、守らなきゃ。伝えなきゃ。

アンコールワットを見て!この遺産は、昔のクメール人(カンボジア人)たちが、どのように生き、いかにして何百年も続いたクメール王朝を作っていったかを私たちに示していると思うわ。
私たちもそうやって次の世代に伝えなきゃ。
未来に引き継がれるもの、私たちの誇りを、自分たちの手で残していかなくちゃ。

この国の役に立つことがしたいの。私は、私が決めた道を進むだけ。

わたしは家族を持ちながら、仕事にも没頭しているわ。
でも、カンボジアでは、家を守るのは女性の仕事で、家事や子育ては女性の仕事だという考えが多いの。
女性は仕事よりも家族を大事にしなければならない、とよく思われているわ。

でも私はこう思う。

「私は女性よ、でもそれがどうしたの!」
女性だからって夢を追いかける権利はあるでしょ?そして、カンボジア国民である以上、私は何か小さいことでもいいから、この国の役に立つことがしたいの。

誰も私の人生を決めることができない。
私は人が言う通りに生きようと思わない。

女性だからといって、やることを制限されるのはおかしいわ。私自身だけが自分の人生を作ることができるの。

今まで関わってきたファッションで、カンボジアにインパクトを与えたいと思っているわ。
カンボジア人に対して、カンボジアシルクへの理解を広げ、この国の産業に誇りを感じてほしい。

私が伝えたいことは、カンボジア国民に対する小さなインパクトかもしれない。
カンボジアが自立へ向かう、小さい解決策かもしれない。
カンボジアがもっと強くなれるって思える、小さいきっかけかもしれない。


でも、なにもやらないより一歩を踏み出すのよ。何かの気づきになるかもしれない。


カンボジアの伝統産業を未来に伝えていく場所、Silk House

何百年ものカンボジア伝統のシルクは、私たちが受け継いでいかなければならないもの。今私が、Lotus Silk社の次のステップとして全力で取り組んでいることがあるの。

それは、カンボジア伝統のシルクを未来に伝えていく場所、「Silk House」の建設。カンボジアの首都プノンペンの中心地に近い場所に作っているわ。

2019年4月オープン予定の建設中のSIlk House。インタビューアーのハラハタとバナリーさん

Silk Houseでは、カンボジアシルクの生産過程を見学でき、さらにオリジナルのスカーフも作ることができるのよ。

敷地内には、カンボジアの伝統的なタイルでおしゃれな装飾をし、椅子や机には廃材を利用、カンボジアのスタートアップの環境に良いレンガを使っているの。
そう、サスティナブルを建物全体で表現しているの。

中には、小さなカフェもあり、カンボジア原産のコーヒーを楽しむこともできる施設よ。

 


このSilk Houseを作らなければならない理由は2つあるの。

Silk Houseでは、シルクを作る工程が実演される

まず第一に、このプロジェクトのターゲットで一番重要なのは、カンボジア国民であるということ。このプロジェクトは、ただの観光資源ではないの。

これまでのLotus Silkの商品の販売先は主に、店舗で購入する外国人観光客と、外国のバイヤーへ輸出よ。価格の面で、なかなかカンボジア人に買ってもらえていないのが現状。

そんな中、Silk Houseを通じて、カンボジア国民にも、カンボジア伝統のシルクを知ってもらえることができる。私たちの誇りの産業をね。

カンボジア国民みんなに知ってもらって、カンボジアシルクを大切にしていかなくちゃ。
アンコールワットの時代からの私たちの伝統、私たちで守らなくちゃ!

カンボジアのマーケットではよくシルク製品が売られているけれど、ほとんどがベトナムや中国からの輸入品ばかりで、みんな、本当のカンボジアのシルクを知らないわ。

この国ではこんなに品質が良くて世界レベルの品物も作っていることを共有して、世界に認められている素晴らしい品物があることを国民にも知ってほしい。

カンボジア人に来てほしいから、シルクハウスの入場料は、外国人は$5かかるけど、カンボジア人は無料にしているわ。

 


2つ目の目的は、このカンボジアの伝統産業をもっと多くの海外の人にも見てもらいたい。

Silk House内には、Lotus Silkの商品が展示される

プノンペンの中心街に作ることで、人が集まりやすいとも思っているわ。
これまで、プノンペンの観光地といえば、キリングフィールドや、ロイヤルパレス、ショッピングだったけど、シルクハウスを作ることによって、プノンペンという街の新たな文化的な場所になればいい。



私は、カンボジアシルク産業を未来に残していく!
次の世代にも、手に取ってわかる伝統のカンボジアシルクを、ずっと輝かせていたい。
これからも、ファッションというフィールドで、カンボジアの文化、国、人々のために尽くしたいわ。

 

 

 



#valuexchange!

 

#value!ハラハタ
#valuexchange!とは、社会を変える人(バナリーさん)と、社会を変える人を応援する人をつなぐ、#value!のマッチングサービスです!
記事を読んでいただいて、知った・共感した、その先のアクションへお連れします!

 

1、クラウドファンディングでの応援

バナリーさん
Silk Houseのオープン最初の3か月間にかかる諸費用を集めるべく、クラウドファンディングに挑戦しているの。Silk Houseの成功に向けて、ぜひご支援お願いします。

カンボジアシルクの誇りをとり戻す。体験的に学べる施設をOPEN|Ready for

 

2、日本マーケット向けへの輸出

展示会での商談の様子

バナリーさん
現在、韓国や、オーストラリア、カナダに輸出しているの。
カンボジアシルクを世界で知ってもらうために、これからもっと国際マーケットに、カンボジアの伝統シルクを届けたいの。特に、日本マーケットは特別よ。
カンボジアと日本のパートナーシップはビジネスの面でも強いからね。

#value!ハラハタ
日本で、Lotus Silk製品の展開にご興味がある方は以下からご連絡ください!
英語⇆日本語通訳が必要な場合もどうにかしますので、お気軽にご相談ください!

 

 

3、カンボジアのファッション業界でボランティア!

バナリーさん
日本のものづくりは素晴らしいし、ワーキングプロセスも学びたい。日本のクオリティーは常にベストだわ。
日本へ輸出を目指して、技術指導をしてくれる人にきてもらいたいの。
できれば、2、3ヶ月、最低でも二週間、カンボジアに来ていただき、技術指導をしてくれる日本でのデザイナー経験がある方を募集しているわ。

#value!ハラハタ
自分のこれまでのファッションやデザイン、モノづくりの経験を世界で活かしたい方いかがでしょうか?カンボジアはいい国ですよー!

 

 

4、#value!×Silk Houseイベント開催

バナリーさん
4月末に、シルクの染物体験もして、私がみなさんを案内するイベントを#value!と開くの!私の事業についてプレゼンして、シルク作りについて施設を案内するわ。そのあとに、シルクの布を使って染物体験をしましょう!もちろん、自分で染めたシルクは持って帰れるの。

#value!ハラハタ
#value× Silk Houseのコラボイベントです!エネルギー溢れるバナリーさんから直接説明してもらえる貴重な機会です!イベントページが出来次第、ご案内お送りさせていただきますので、ご興味ある方は、メルマガ登録をお願いいたいます!

#value!メルマガ!

#value!最新記事情報・ 限定イベント情報をお届け!


 

5、#value!talk!

#value!ハラハタ

バナリーさんとお話ししたい方は、ビデオ通話(英語通訳可)可能ですので、以下よりお問い合わせください。
カンボジアシルクブランドを立ち上げたバナリーさんと#talk!

バナリーさんに、「応援メッセージや感想を送りたい」「テキストで連絡がとりたい場合は、以下のお問い合わせフォームの、#valuexchange! ID欄に「va0」とご記入いただき、コメント欄に、伝えたい内容をご記入いただくか、記事ページ下にコメントください。ご本人にお伝えします。
伝える!!

 

Lotus Silkさんの製品はカンボジアでのプノンペンのお店で購入できます。

Lotus Silk & Boutique
営業時間:月〜土曜日 10:30am-6:30pm(英語での対応可能)

MAP

 

 



#value!を一緒に作る人も募集!

#value!ハラハタ
#value!が社会を変えようとする人を応援するプラットフォームになれるように、
#value!を一緒に作ってくれるメンバーを募集しています!
お気軽にご連絡ください!ぜひお話だけでもしましょう!
カンボジアのみならず、他の国で#value!の展開をしてみたいという方もご連絡ください!!!!

 

 

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